バレリーナの脱力が難しい理由
カテゴリー:バレエ整体
お世話になります。
稲城ひらお整体院
院長の津端です。
本日は
『バレリーナの脱力が難しい理由』
を投稿します。
クラシックバレエに限らず
舞踊やスポーツにおいて
脱力の重要性が説かれることは
多々ありますが
実際にやろうとすると
非常に難しいのが脱力です。
「すんなりできれば困んないよ!」
と思っている方も多いのではないでしょうか。
本日の投稿では
脱力が難しい理由と、
現実的な脱力への対処法を
書いてみたいと思います。
もっと力を抜いて!と
日々ご指導を受けている方は
ぜひご一読ください。
Contents
なぜ力が入ってしまうの?

なぜ肩や首に力が入ってしまうの?
と言う直球の疑問から考えてみます。
そもそも
力が入ってしまうと言うことは
『その必要性がある』
と言うことです。
重たいものを持つときには
手に力が入りますし
急な坂道を登るときには
足に力が入ります。
手に力が入らなければ
重たいものを持てませんし
足に力が入らなければ
坂道をかけあげることが
できません。
クラシックバレエにおける
【脱力】の動作改善で
「力が入っているから脱力しなさい」
と言う指示・指摘から入るのは
初動で100パーセント
失敗していると思います。
力が入っていると言う状態は
その必要性があると
言うことであり
肩や首に力が入ってしまうことの
最大の問題は
肩や首に力が入ってしまうこと
それ自体ではなく
力が入る必要性がある状況に
心身が在る点にあります。
心身という表記を選んだのは
これは物理的な影響だけでなく
精神的緊張やストレスも
要因の一つになるためです。
つまり
脱力を要する緊張とは
特定の状況・環境で起こる
半ば自動的な現象であるといえます。
ですので
「力が入っているから抜きなさい」
と言う指示・指摘は
この点を考慮すれば
その場しのぎで超短期的で
姑息な改善でしかないのです。
会社などで例えれば
とある問題(緊張)があって
とにかくそれを解決しろ!(脱力)
と言われているのと同じです。
それがすぐに対処できれば
問題にならないのでは…
と思われた方も多いと思います。
緊張を緩和させるための脱力は
最初からすぐ脱力できる人にしか
通用しない指示なのです。
そのような理由があり
脱力を指摘された経験がある人は
なんどもその指摘・指導を
繰り返される傾向にあります。
この指摘・指導の繰り返しも
脱力を難しくする要因の一つです。
と言いますのも、すぐに、
ひょっとすると指示を受けた瞬間に
まだすぐに肩や首に力が入ります。
人間誰だって指摘や指導を受ければ
いい意味でも悪い意味でも
ビクッ!としますからね。
しかし
生徒さん本人に
悪意があるわけでもなく
改善に無気力なわけでもなく
ただ単に
構造的・運動的な理由から
首や肩に
力が入っている必要性がある
と言うだけの話なのです。
抜けと言われて抜けるなら
誰も苦労はしないと言うのが
今回の投稿の切り口になります。
筋緊張を認識できていない
バレリーナの脱力を
動作改善する上で
もう一つ覚えておく必要があるのは
肩や首に力が入ってしまっている
バレリーナは、原則として
その筋緊張を認識できて
いないと言う点です。
「そこが変だよ」
と言われても
「えっ、どこが?」
と言う状態ですので
最優先で行うべき処理の一つに
本人が自分の筋緊張を認識する
認識できるようにする
と言う行程があります。
これは、動作改善の
重要要素の一つです。
エクササイズやトレーニングを
いたずらに行うことの
デメリットでもあります。
認識・確認・フィードバック…
表現はなんでも良いのですが
コンディションを認識できない状態は
トレーニングやエクササイズが
裏目にでるときの典型例です。
そもそも筋肉のエラーは
必ずしも筋力が出力できない
という形で起こるとは限りません。
筋力は出力しているのに
本人は認識していない
という逆の形で
現れることもあるのです。
肩や首に力が入ってしまう
バレリーナは
この後者のパターンです。
肩の力でバランスを取っている

では、
なぜ肩に力が入る
必要性があるのでしょうか。
思うにそれは、
肩が緊張する(挙上動作)ことで
僧帽筋や肩甲挙筋などに
支持力を発生させているのだと
推測します。
回転やジャンプに
揺さぶられる体を支えるために
肩の表層の筋肉を硬くして
そこを支えにしている
という考え方です。
僧帽筋は
脊柱をマストに見立てれば
船の帆のような位置にあります。
したがって、
僧帽筋が緊張状態を続けてくれると
マストに該当する脊柱は
非常に安定するということになります。
肩が引き上げ動作を代償する
この現象を私は
肩の引き上げ代償と呼んでいます。
本来は体幹部で処理すべき
引き上げ動作を
肩や背中や首が代わりに
引き受けてしまうことで
起こる現象です。
したがって、
肩の引き上げ代償による
肩首の緊張の場合は
「力を抜いて!」と
指示指摘を飛ばしたところで
現実的に不可能です。
その力を抜いたら
引き上げ動作が成立しなくなり
クラシックバレエのメソッドに
沿った正しい動作が
できなくなるためです。
ルルベで立てなくなり
ピルエットでは
回れなくなります。
肩や首に力が入っている
バレリーナは指摘や注意を受けても
その力を抜くことが
できない例がほとんどなのです。
首のこわばりで頭を支えている

肩のこわばりが
軸の補強に役立つように
首のこわばりも
頭部の支えとして
役に立ちます。
ただしこれは、
超短期的に評価した場合です。
少しでも長い目で見れば
首のこわばりは審美性を損ない
体幹の伸びやかさと安定性を下げ
何よりバレリーナに
息苦しさと過度の緊張を与えます。
首のこわばりがないと
頭が支えられないバレリーナは
脚に頼った重心コントロールを
している傾向にあります。
もっと正確に書くならば
重心をコントロールせずに
主に脚の力による
ストップ・アンド・ゴーで
踊っているバレリーナは
自然に首を支えて立つことが
難しいようです。
脚の力による
ストップ・アンド・ゴーで
動いているバレリーナの頭が
自然に支えられない理由は
頭と体が統一性を持たずに
動いているためだと考えられます。
脚の力を主体に
踊っているバレリーナは
斜角筋や乳突筋あたりの
頚部側方の筋肉に
慢性的な緊張があります。
頭部が揺れすぎないように
正中線から逸脱しないように
そのあたりの筋肉が緊張して
シートベルト的に頭部を支えているのです。
首に力が入っているバレリーナに
「力が入ってるから、抜いて!」
と指示指導を出した場合
そのバレリーナは
一気に踊れなくなるでしょう。
彼女の首に入った力は
首と体幹が離れないように
働いている筋肉の命綱です。
ちなみに、
この首に力が入った状態は
非常に肉体的に辛く
筋膜性頭痛の原因や
諸般の自律神経的不調及び
バランス感覚の失調などの
背景的原因になります。
ず〜っと自分で
自分の首を絞めているのと
同じような現象ですので
無理もない話です…。
しかもその状態で
有酸素的な動きを繰り返すので
二次被害として呼吸も浅くなります。
首を固めることで擬似的な軸を作る悪癖

脱力という論点からは
少し脱線しますが、この
『首を固めて擬似的な軸を作る』
という悪癖が身についてしまっている
バレリーナは結構多く見ています。
悪癖、と言い切るのは
このやり方をやればやるほど
体幹のコントロール能力は
どんどん失われていき
脚にかかる負担が
増えていくからです。
短期的には、
首を犠牲に軸を作ることで
頭と体幹に同期性(一緒に動くこと)
を与えて踊りやすくなりますが
中期・長期的なメリットは
一切ありません。
本来の身体能力が低下し
諸般広域の不調が発生し
頭痛や肩こり、吐き気に悩まされ
精神的・性格的にもキツくなる
(首に負荷がかかり続けているので)
という
『百害あって一利弱』の悪癖です。
でも、
この癖を自分の体に叩き込んでしまった
バレリーナは沢山いました。
この先は完全に推察なので
流し読みで結構ですが
彼女たちはおそらく、何度も
「肩の力を抜いて」
と指導を受けたのだと思われます。
その結果として、
肩の力を抜くために
首に力を入れるという
本末転倒な身体操作を
選択してしまったのではないかと
考えられます。
首に力を入れて擬似的な軸を作れば
確かに肩は上がらないし
見た目的には
改善したように見えますが
間近で見ると、首のあたりに
すごい緊張が伝わる身体運用です。
もし思い当たる節がある方は
すぐに辞めてください。
本当に良くない運用方法だと感じます。
肩や首が力んでいる=他が弱い

本題に戻りましょう。
肩や首に力が入って
力んでしまっているバレリーナは
原則として他に弱い部分、つまり
肩や首以外で
筋力・筋出力的に不足している
部分があります。
ありますと断言したのは
もしその筋力的不足がなければ
肩や首の力身を指摘されたら
ほとんどのケースで
すぐにスッと
力を抜くことができるからです。
肩や首に力が入っていることで
バランスが成立しているということは
その余分な力のぶんだけ
どこかに力の不足があるということです。
首や肩に力が入っている
バレリーナの患部を
上手に脱力させるには
直接的に脱力をさせようと
するのではなく
無理なく脱力ができるための
土台バランスの修正が
前提的に必要になります。
脱力は難易度が高い行為
クラシックバレエにおける
脱力の動作改善について
脱線しながら書いてきましたが
基本的に脱力という指示は
非常に難易度が高いです。
力は入れるよりも
抜く方が難しいようです。
「力を抜いて!」
という指示は、
身体操作的には
かなり難しい指示です。
そして
そのような指示を飛ばされる
力を抜く必要がある方は
原則として
『力が入っているという認識がない』
ということを忘れてはいけません。
力が入っているという
認識がないバレリーナに
脱力の指示を送れば
一層混乱して、
緊張方向に身体反応が
発生します。
嘘だと思う方はご自身の体験を
思い出してみてください。
先生から
「力を抜いて!」と言われて
「あ、今自分すごいリキんでるな〜」
と勘付ける方はごく一部です。
大体の方は
「どうやって!?」
と反応します。
その瞬間に、
筋緊張は亢進してしまうのです。
力が入ってしまうバレリーナに
「力を抜いて!」
という指示・指導は
実は一番のNGなのでした。
繰り返しになりますが
抜けと言われて抜けるなら
誰も苦労はしないのです。
脱力コマンドを代償する
力が入っているバレリーナに
力を抜いてといえば
余計に力が入る…
この矛盾を解決することが
バレリーナの脱力を可能にする
最初にして最大の関門になります。
本当にここさえできれば
バレリーナの脱力は
そんなに難しくはないのです。
やり方は簡単です。
(1)脱力をさせることを目的としない。
(2)脱力という言語と指示を使わない。
(3)脱力できない原因を修正する。
たったこれだけです。
もし、脱力できない『理由』が
分からなければ
それは単なる分析不足だと思います。
バレリーナの緊張には
絶対に明確な理由があります。
そもそも首肩の緊張は
身体的にいえば不要なものなので
それに対応する
『関係性の穴』があるのです。
また
バレリーナの脱力において
重要な点は
『自分自身で脱力できた体験』と
『無意識に緊張しているという認知』
この二つだと思います。
整体院で
整体師から
整体師の技術ありきで
達成できた脱力なんて
バレリーナには役に立たないですよ。
もしあなたが結構なお金持ちで
練習や本番に
技術者を帯同させられたとしても
あなたが踊ってる最中に
脱力の施術を
してくれるわけではありません。
指示力が高まれば力みは消える

肩や首から力を抜くことが
難しいバレリーナは
それが肩の力であれ
首の力であれ
体の要点を支える力が足りず
それを補う形で
自動的な緊張が発生するケースが
大半のように思われます。
整体技法にも言えることですが
脱力という
あるものをなくしてゆく
マイナス方向への動作は
とても難しいです。
逆に不足分を足すという
プラス方向への調整は
整体でも簡単です。
当院では色々な技法と
知識を駆使して
ダイレクトな
マイナス方向への調整と
マイナス方向への動作改善を
臨床では行なっていますが
レッスン中の言葉がけや
ご指導などでは
リスクの少ないプラス方向への
言葉やアドバイスの方が
いい結果が出るのではないかと
常々感じています。
発想の転換、視点の転換
というと大げさですが
脱力という要素は
とても奥が深く超難しいので
もっと簡単なルートから
同じ結果を出せる
動作改善していくのが
いいのではないかと
思う次第です。
お読みいただき
ありがとうございました。
御蔭様です。
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